松村 景文は、江戸時代後期に活躍した四条派の絵師です。
四条派は松村呉春を祖とする流派で、与謝蕪村の柔らかな文人画の要素と、円山応挙の写生を基盤とする様式を融合させた、抒情的な画風を特徴としています。
景文は、27歳年上の異母兄である呉春に師事し、さらに洗練された表現方法を確立しました。花鳥画を得意とした景文の作品は、余白を活かした構図と繊細な描線が床映えするとして広く愛されました。
四条派の画壇で中心的な役割を果たし、没後には人気の高さから多くの贋作が出回ったため、門人たちの間で「師の偽筆を作らない」という誓約書が交わされたと伝えられています。
また、同門の岡本豊彦と並んで「花鳥は景文、山水は豊彦」と評され、当時の京都画壇において高い評価を受けました。
代表作には『四季草花図』『玉路・山茶花図』などがあります。






