鳥文斎 栄之

鳥文斎栄之は、江戸時代後期に活躍した武家出身という異色の経歴をもつ浮世絵師です。美人画を中心に多彩な作品を手掛け、「十二頭身」という独自の様式を確立しました。

1756年、栄之は祖父の代から「江戸勘定奉行」を任されていた立派な家柄に生まれました。若くに家督を継承し徳川家治に仕えていましたが、1786年に家治が病死。それから3年後に栄之は隠居し、浮世絵師としての人生を歩み始めました。

彼の描く女性像は、その色使いや細くしなやかな線などから控えめで知的な美しさが感じられ、当時の浮世絵界に新しい風を吹き込みました。

上流階級や知識人などからは特に愛されていたことが知られています。

人気の高い浮世絵師ですが、幕末から明治にかけて多くの作品が海外に流出した為、国内で彼の全貌を知ることは難しくなっています。

代表作には『青樓藝者撰・いつとみ』『青楼美人六花仙 扇屋花扇』『隅田川図巻』などがあります。

菱川 師宣

「浮世絵の祖」と呼ばれる菱川師宣。これまで絵入本の挿絵程度に捉えられていた浮世絵版画を一枚の芸術作品として確立させ、江戸の庶民文化の中での美人画や風俗画の発展に貢献しました。

菱川の生年については、1618年(元和4年)と1630年(寛永7年)頃という2つの説があります。​幼いころから縫箔師だった父親を手伝い、美的センスと繊細な技術を磨いていきました。​成長した菱川は江戸へ向かい、「狩野派」「土佐派」「長谷川派」などの伝統的な絵画技法を独学で学び、それを基礎に新しい絵画様式を作りあげていきました。

菱川の描く女性像は人気が高く「これぞ江戸美人である」と賞賛されました。

​当時の風俗や美人画を中心に多彩な題材を描き、庶民の等身大の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

代表作には『見返り美人図』『歌舞伎図屏風』『伽羅枕』などがあります。

鳥居 清信

鳥居 清信は、江戸時代中期の浮世絵師です。

歌舞伎劇場の絵看板などを手掛けていた父、鳥居清元から絵を学びました。

「役者絵」を浮世絵版画の重要な画題として確立させ、現代にまで続く「鳥居派」の祖と言われています。

役者の筋肉を瓢箪のように強調する「瓢簞足」(ひょうたんあし)、描線に強い抑揚をつける「蚯蚓描」(みみずがき)という画法を使い、力強さや躍動感を表現しています。この画法は江戸町人の間で非常に評判となりました。

彼の作品は歌舞伎役者の看板や浮世絵版画、美人画、絵本など多岐にわたります。絵看板は講演が終わると撤去されてしまうので残されていませんが、一枚絵の役者絵は多く残されています。

代表作には『立美人』『大江山図』『傘持美人図』などがあります。

北尾 重政

北尾重政は「北尾派の祖」として知られている江戸時代中期の浮世絵師です。

生家が書肆を営んでいたため、幼い頃から書物や版画に触れ、俳諧や書道、絵も得意という多才な子供でした。それからは様々な絵師の画風を参考にしながら独学にて浮世絵を描き、北尾派を創始しました。

著名な門人には「北尾政美」「北尾政演」「窪俊満」などがいます。

重政は繊細かつ写実的に当時の人々の生活を描きました。表情や着物など細部までこだわり、落ち着いた色合いからは気品を感じます。また、浮絵や草双紙の挿絵も多く手掛け、その作品は多岐にわたります。

彼の作品は、現在も国内外の美術館に多く所蔵されています。

代表作には『青楼美人合姿鏡』『花鳥写真図彙』『芸者と箱屋』などがあります。

宮川 長春

宮川長春は江戸時代中期に活躍した浮世絵師です。

「宮川派の創始者」として知られている長春は肉筆画を専門とし、生涯を通じて版画を制作しなかったそうです。また、作品に年記を記すことがあまりなく、描かれた作品の制作時期を知ることは難しくなっています。

長春は多様な流派の技法から影響を受け、独自の画風を確立しました。彼の作品の多くは遊郭の女性たちを題材としており、なめらかな描線と丁寧な彩色が特徴です。当時の遊女や遊里の風景、庶民の風俗などを生き生きと表現しています。

1750年頃、狩野春賀の依頼で日光東照宮の彩色修理を手伝った際、報酬が支払われず、長春が抗議に訪れたところ暴行されるという事件が起こりました。​これを知った長春の息子と門弟たちが憤慨し、春賀宅を夜襲。春賀を殺害したほか、その家人数名を殺傷しました。この事件により双方処罰を受けることとなり、宮川派は解体されました。

長春の作品は、現在も国内外の美術館などで所蔵され、その繊細な画風は高く評価されています。

代表作には『風俗図巻』『蚊帳の中喫煙美人図』『社頭春遊図』などがあります。

勝川 春章

勝川春章は、江戸時代中期を代表する浮世絵師で、葛飾北斎をはじめとする後の浮世絵師たちにも多大な影響を与えました。

勝川の生涯については不明瞭な点が多く、生年を1726年または1729年とする説があります。また、春章の出生地は江戸とされていますが、その生い立ちについても定かではないようです。

40歳前後という平均より遅いスタートにもかかわらず、50代になっても業績をあげるなど絵師としての活動にとても熱心でした。彼は役者絵だけでなく、美人画や武者絵、相撲絵といった多彩なジャンルを手掛けました。

役者絵では、それまでの常識であった荒々しく誇張された表現とは違い、個々の役者の特徴を捉えた写実的な似顔絵を新しく導入し、一世を風靡しました。

代表作には『婦女風俗十二ヶ月図』『青楼美人合姿鏡』『雪月花図』などがあります。

浜田 泰介

浜田泰介(はまだ たいすけ)は、愛媛県宇和島市出身の日本画家です。 彼は、色彩や形態を駆使して、視覚的なインパクトを強調する作品を制作しており、日本画という枠に囚われない独自のスタイルを確立しています。 早期は抽象画家と …

井坂 仁

井阪仁は、三重県出身の洋画家で、白日会会員として活躍しています。 琳派の装飾性と洋画の写実性を取り入れた独特の作風で知られ、主に花を題材とした作品を手掛けています。 1978年に白日展で佳作賞を受賞し、1981年には白日 …

川島 見依子

川島見依子は、愛知県出身の画家です。 1982年に早稲田大学文学部を卒業し、1990年には日洋展に出品しました。 1993年から8年間、銀座三越で個展を開催し、全国の主要百貨店でも多数の個展を行いました。1996年には「 …

齋藤 満栄

齋藤満栄は、新潟県出身の日本画家です。   多摩美術大学日本画科(横山操教室)を卒業し、翌年の1973年には文化庁現代美術選抜展で文部大臣賞を受賞しました。 そののち、堅山南風の内弟子となり、1979年には院展 …

今中 洋二

今中洋二は、京都市生まれの洋画家です。 明るく写実的な風景画で知られています。彼の作品は、特にスペインの風景や街並みにインスピレーションを得たものが多く、度々スペインへ渡航して現地の景色や文化を深く研究しました。 上野の …

トム・エバハート

トム・エバハートは、1953年にアメリカで生まれた画家です。 イェール大学を卒業後、パリとニューヨークで絵画を学び、当初は風景画で成功を収めました。その後、広告プロジェクトに参加した際、スヌーピーの生みの親であるチャール …

わたせ せいぞう

わたせせいぞうは、福岡県北九州市出身の漫画家・イラストレーターです。   早稲田大学法学部を卒業後は、保険会社に勤務しながら、1974年に『ビッグコミック増刊号』で漫画家デビューを果たしました。 代表作『ハート …

空山 基

空山基は、1947年生まれ愛媛県出身のイラストレーターです。   女性の官能的な美しさと機械的なフォルムを融合させた独特の作風で知られています。特に、メタリックな質感の女性型ロボットを描いた「セクシーロボット」シリーズは …

栗原 一郎

栗原一郎は、東京出身の日本の洋画家です。   主に抽象的なスタイルで知られ、特にその大胆な色使いと力強い筆致が特徴的です。 武蔵野美術大学で絵画を学び、卒業後は同大学の教授であった小貫政之助に師事し、学びを深め …

青山 龍水

青山龍水は1905年生まれ、長崎県出身の西洋画家です。 東京美術学校を卒業後、1937年に二科展で初入選し、その後には文科省美術展覧会で無監査推薦されており、高い技量が評価されました。1945年に仁科会員と日展委員になっ …

高間 惣七

高間惣七は1889年東京都生まれの洋画家です。 東京藝術大学西洋画科に在学時、第7回文部省美術展覧会で初入選しており、その後、卒業しています。卒業後、第1回帝国美術院展覧会で特選を受賞しており、以後、第5回展まで連続で特 …

黒澤 信男

黒澤信男は埼玉県出身の洋画家です。  1930年、埼玉県に生まれ、17歳の時に白日展に初入選しています。その後、東京藝術大学に入学しました。1952年に日展でも入選し、1959年には白日会会員として活動しています。以降も …

吉田 遠志

吉田遠志(1911年 – 1995年)は、東京都文京区に生まれた木版画家・画家です。 父である吉田博から油彩画の技術を学んだ後、海外に渡り、主に野生動物を題材とした作品を制作しました。その活動の中で、動物絵本 …

平野 遼

平野遼は、大分北海郡(現在の大分市)出身の洋画家です。 幼少期に福岡県八幡市(現・北九州市)に移り住み、独学で絵画を学びました。 1949年、新制作派展に蝋画「やまびこ」で初入選し、1951年には自由美術家協会展に「詩人 …

若尾 和呂

若尾和呂の作品はタリズマニック・アート(運気を上げる作品)として親しまれています。 若尾和呂は1922年の岐阜県多治見市に生まれ、1941年より洋画家の小柳正(こやなぎ ただし)に師事します。 1960年のインド遊学中に …

人見 友紀

人見友紀は、1940年に生まれ、1999年に亡くなった画家です。 日本や海外の自然風景を描いた油彩画を多く手がけました。   また、「逃亡作家」としても知られています。1972年から1973年にかけて発生した美 …

セルジュ・ラシス

セルジュ・ラシスは1933年、フランス南西部、スペインとの国境に位置するアンダイエHendayeに生まれました。 パリの美術学校で優秀な成績を修め、1955年よりイラストレーターとして活動を始めました。 出身地であるアン …

韓 奉浩

韓奉浩は、韓国ソウル生まれの画家です 主に花や女性像を描くことで有名です。 韓国・日本を中心に活躍、数多くの作品を世に出し、日本では1980年に現美展内閣総理大臣賞を受賞するなど、日本国内でも人気は高まっていきました。 …