ポール・ジャクレーは、フランス出身で日本で活躍した版画家です。
1896年にフランス・パリに生まれ、3歳で家族とともに来日しました。
東京で育ち、日本語や日本の風俗・古典文化に慣れ親しみながら成長しました。
幼いころから絵画に関心を持ち、喜多川歌麿の浮世絵の模写を行っていました。また、黒田清輝や久米桂一郎から油彩を学び、その後は池田輝方や蕉園夫妻から日本画を学びました。
10歳の時の模写には、自身の名前を漢字で「若礼」と書きサインを残しています。また、義太夫好きが高じて「若礼」の名で高座に上がったそうです。
その後、フランス大使館で翻訳の仕事に就いていましたが、1930年頃に辞職し本格的に画業に取り組むようになりました。
1929年に南洋諸島へ訪問し、それが大きな転機になります。そこでの意欲的な創作活動で、100枚以上の水彩画やデッサンを制作しました。
その後1932年まで、毎年日本の委任統治領だった南洋の島々に長期滞在し、数多くの水彩画を制作しました。それが「新版画」の制作につながります。
「新版画」は絵師・彫師・摺師の協働作業で行われ昭和前期に盛んでした。
ジャクレーは、美術史学者である藤懸静也のすすめで版画制作をはじめ、1933年に「若礼版画研究所」を設立しました。
そして翌年1934年から、彫師・摺師と協働し、南洋やアジアで暮らす人々を主題とした人物画を中心に木版画の出版を開始します。
ジャグレーの作品は、版画でありながら鮮やかな色彩が特徴的で、その絵からはその土地の風土や空気感が伝わってきて、人々の暮らしを想起させます。
使用する絵具や、摺りの仕上がりにも細心のこだわりがあり、雲母摺や多色摺などの高度な技法を積極的に取り入れたり、自然な仕上がりを求めて金粉や銀粉、真珠や螺鈿の貝の粉を用いるなど、高度な摺り技法によって独自の質感が生み出されています。こだわりでは通常の10倍程である200枚前後の版木を使用することもあったそうです。
多色摺による精緻な工程を経て制作され、その完成度の高さと異国情緒あふれる表現により、国内外で高い評価を受けています。
コヤマ シゲトは、主にアニメ・ゲーム分野におけるメカニックデザインやコンセプトデザインで知られている日本のイラストレーターです。
コヤマは東京都に生まれ、1999年にガンダム・トリビュートマガジン『G20』第6号にイラストを提供し、商業デビューを果たしました。2004年には貞本義行に声をかけられ、アニメ作品『トップをねらえ2!』でメカニックデザインを担当します。その後、『交響詩篇エウレカセブン』『HEROMAN』など多数の作品に参加し、キャラクターおよびメカニックデザインの分野で評価を確立しました。さらに、ディズニー映画『ベイマックス』ではコンセプトデザインを手がけるなど、国内外の作品において幅広く活躍しています。
彼の作品は、作品全体のコンセプトや世界観を踏まえて設計する点が大きな特徴です。本人のインタビューなどからも発想を論理的に組み立てる姿勢がうかがえ、形・色・役割が整理された無駄のないデザインが魅力です。
こうした点から、コヤマシゲトは作品の世界観そのものを視覚化する設計者タイプのデザイナーだと考えられます。
フカヒレは、透明感のある繊細な美少女表現で知られている北海道出身の日本のイラストレーターです。
柔らかな光の表現、優しく繊細なキャラクターの描写力に定評があり、ライトノベル挿絵・ゲーム・VTuberデザインなど幅広い分野で活躍しています。活動は多岐にわたりますが、近年ではホロライブ所属VTuber・戌神ころね のキャラクター原案が特に知られています。
近年は画集『Lingering』も刊行され、絵師100人展への出品に留まらず個展開催など作家活動の幅を広げています。
中原淳一は、昭和初期から戦後にかけて活躍したイラストレーター、編集者、ファッションデザイナーです。
中原は香川県に生まれ、1930年代に少女雑誌『少女の友』の表紙や口絵、挿絵を手掛け、その洗練された大きな瞳の美しい少女画で高い人気を得ました。1946年に『それいゆ』を創刊し、『ひまわり』『ジュニアそれいゆ』の雑誌制作にも関わり、モダンなファッションや生活美を提案しました。
彼の作品は、水彩・インクを用いた繊細で鮮やかなイラストが多く、少女画やファッション画を中心としています。戦前から戦後にかけて雑誌の表紙や挿絵を数多く手がけ、誌面を通じてファッション、ヘアメイク、人形制作、インテリアなど生活全般にわたる美意識を提示しました。
彼の作風は時代性を感じさせるレトロな魅力を備えながらも、色彩や造形の完成度は高く、現代のデザイン感覚にも違和感なく受け入れられる普遍性を持っていると考えられます。
中原淳一は、日本の「可愛い」文化やファッションに影響を与えた先駆的存在として、今なお大きな存在感を持つ作家であるといえるでしょう。
中村佑介は、日本を代表するイラストレーターです。
中村は兵庫県に生まれ、大阪芸術大学デザイン学科を卒業後、フリーランスのイラストレーターとして活動しています。ロックバンド『ASIAN KUNG-FU GENERATION』のCDジャケットを手がけたことで注目を集め、その後、小説『夜は短し歩けよ乙女』『謎解きはディナーのあとで』などの装画、音楽教科書の表紙、広告・パッケージなど幅広い分野で活動を展開しています。
彼の作品は、主に女性像を中心とした作品が多く、鮮やかな色彩とポップでノスタルジックな世界観が特徴です。赤・青・黄などのはっきりとした色彩や均一で細い線による描写、細かく描き込まれた背景や装飾モチーフなど、空間全体で物語性を表現しています。また、大正ロマンを思わせる日本的・懐古的要素も感じられます。
近年も展覧会や作品集刊行を継続し、日本の商業イラストレーションを代表する作家の一人として評価されています。
カントクは、日本のイラストレーター・原画家で主にライトノベルやゲーム、アニメ関連の分野で活動している作家です。
彼は兵庫県出身で、10代で活動を開始し、同人サークル『5年目の放課後』を立ち上げました。以来、『変態王子と笑わない猫。』や『妹さえいればいい。』などのライトノベル作品において原作イラスト・挿絵を担当し、イラストレーターとして活動ジャンルの幅を広げています。
彼の作品は少女を主題とするものが多く、一枚の絵からキャラクターの個性や感情が鮮やかに浮かび上がる点が特徴です。日常の一瞬を切り取ったような描写が重視されており、光の差し込み方や、影の奥行きを繊細に描いています。こうした描写により、静かな余韻を残しながら視線を自然に導く画面構成が生み出されています。
総じて、カントクはキャラクターの内面を静かに描き出す作家ともいえます。