大河原邦男は、日本を代表するメカニックデザイナーです。
大河原は東京都に生まれ、東京造形大学を卒業後、アパレルメーカー勤務を経て1972年にタツノコプロに入社しました。『科学忍者隊ガッチャマン』でメカデザインを担当したのを契機に、その後はメカニックデザインを専門とするようになりました。1978年からはフリーランスとして活動を開始し、『機動戦士ガンダム』『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』など数多くの作品に参加しました。
彼の作品は、メカ(機械・ロボット)を中心としたデザインですが、特に『ガンダム』に代表されるように、単なるロボットではなく兵器として成立する点に特徴があります。アニメでありながら現実の兵器や工業製品に近い存在感を持たせており、機能性や構造を意識したリアリティある表現によって、視覚的な説得力を高めています。また、子どもにも認識しやすいシンプルかつ印象的なシルエットも、広く支持される要因の一つとなっています。
大河原邦男は、アニメだけでなく、玩具やゲームなど関連分野にも関わり、ロボットアニメおよび模型・玩具文化に大きな影響を与え続けている作家といえます。
ヒグチ ユウコは、日本を代表する画家・絵本作家の一人で、独特な幻想世界を描く作風で知られています。
ヒグチは多摩美術大学在学中より個展活動を開始し、その後は画集、装画、絵本制作を中心に幅広く活動しています。2014年刊行の『ふたりのねこ』で絵本作家としても注目され、以降は国内外で作品を発表しています。また、GUCCIや資生堂、ユニクロなど複数のブランドとのコラボレーションも行っています。
彼女の作品は、猫を中心とした動物や少女を主なモチーフとしており、飼い猫「ボリス」をモデルにした作品も制作されています。擬人化され、衣服をまとった動物が登場する点も特徴で、愛らしさと同時に、どこか不思議な印象をあわせ持っています。単なるイラストではなく、絵本やファンタジー映画の1シーンのような、背景に物語を感じさせる構図が多く見られます。
ヒグチユウコは、幻想性と物語性を融合させた独自の世界観を、細密な描写で構築する作家として評価されています。
ハンス・リューディ・ギーガーは、生物と機械的要素を融合させた「バイオメカノイド」を代表する作家です。
『邪聖剣ネクロマンサー』や『ダークシード』などのゲームのパッケージや、ELP『恐怖の頭脳改革』、マグマ『Attahk』、hide『HIDE YOUR FACE』などのアルバムで作品を見たことのある方も多いかと思います。
ギーガーは1940年にスイスのクールにて誕生しました。
父親は薬剤師で、その影響もあってか幼少期から死や人体、異形の存在に強い関心を示していたといいます。
1959年からは建築分野で実務経験を積み、その後、チューリッヒ応用芸術学校にて建築および工業デザインを学びました。在学中からインク画やテンペラ、ポリエステルによる立体作品など多様な表現を試み、1960年代半ばには制作活動を本格化させ、1960年代後半にはポスター作品で注目を集めるようになりました。
転機となったのは、1977年に刊行された作品集『ネクロノミコン』です。これを目にしたリドリー・スコットの起用により『エイリアン』のクリーチャーデザインを担当し、1980年にはアカデミー賞視覚効果賞を受賞しました。
以後も『エイリアン3』『ポルターガイスト2』『スピーシーズ』などの作品に関わるほか、未完に終わったアレハンドロ・ホドロフスキーによる『Dune』にも参加するなど、映像分野でも影響力を持ち続けました。
「恐ろしくも美しい」と評される独自のスタイルを確立したギーガーは、複数の分野で活躍しながらも一貫して「生と機械の融合」という主題を追求し続けました。
現在、彼の作品はスイスのグリュイエールに建てられた「H.R.ギーガー美術館」に収蔵・展示されています。
山口はるみは、1970年代以降の広告表現を代表する日本のイラストレーターです。
山口は島根県で生まれ、東京藝術大学油画科を卒業後、1969年にPARCO(パルコ)のオープンとともに広告制作に関わりました。山口が描いた女性像『Harumi Gals』は、新しい生き方を志向する女性像として広く知られ、当時の社会的な価値観を象徴するビジュアルとして評価されています。また、1970年代にはエアブラシを用いた女性像を多く制作し、「マンズワイン」「KRIZIA」などの広告、「Apache」「話の特集」などの雑誌の挿絵を手掛けました。
彼女の作品は、エアブラシ技法を用いた作品が多く見られ、グラデーションの効いた均質な肌表現や写真とは異なる理想化されたビジュアルが特徴です。主体性を備えた女性像を主題とし、当時の女性の社会進出を背景とした時代性を反映した表現が見られます。
1970年代から1980年代にかけて、広告というメディアを通じて新たな女性像をヴィジュアル化した、ポップで自由な作家ともいえるでしょう。
五木田智央は、東京を拠点に活動する日本の現代美術家です。
五木田は、ドローイングやモノクロームの人物画で国際的に高く評価され、抽象と具象を往還する独自の表現で知られています。武蔵野美術大学を卒業後、当初は商業デザインやイラストレーションの分野で活動していましたが、次第にファインアートへと軸足を移しました。2000年代初頭、ドローイング作品の制作を本格化し、作品集『ランジェリー・レスリング』を刊行し注目を集めました。それ以降、国内外で個展・グループ展に参加し、特にアメリカ・ヨーロッパでの評価を高めました。
彼の作品は、人物像を主なモチーフとし、顔を塗りつぶす・歪めるなどの抽象的イメージへ変形する表現が特徴です。白・黒・グレーのみで構成されたものが多く、雑誌や写真、印刷物など既存イメージを参照し、それらを組み替えるコラージュ的発想で構成されています。こうした要素が重なり合うことで、強い視覚的印象と独自の世界観を生み出しています。
五木田智央は、その独自性の高い作風により、国内外のアート市場において人気を集めている作家の一人です。
和田誠は、日本を代表するイラストレーター・グラフィックデザイナー・映画監督です。
和田は大阪に生まれ、広告制作会社のライトパブリシティに入社し、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。その後フリーランスとして独立し、書籍の装丁、雑誌の表紙、広告、パッケージデザインなど多岐にわたる仕事を手がけました。たばこ『ハイライト』のパッケージデザインも手がけており、代表作の一つとして挙げられています。
1977年より『週刊文春』の表紙イラストを担当し、誌面リニューアルに伴うカバーデザインとして継続的に制作を行いました。この仕事は40年以上にわたり、2017年7月20日号まで約2000号分のカバーイラストレーションに及んでいます。
彼の作品は、親しみやすい「遊び心のある筆致」と「優しい色づかい」が特徴で、特に人物や著名人の似顔絵を多く手がけています。また、絵本や挿絵の分野でも活動しており、動物や物語的なキャラクターを描いたものや、軽快で遊び心のある作品なども制作しています。
これらの点から、和田誠は親しみやすさと表現の幅広さを兼ね備えた作家として、日本のイラストレーション界において高い評価を受けています。