今回ご紹介するお品物は、永楽保全作『仁清写蓬莱絵茶碗』です。
永楽保全(えいらく ほぜん)は、千家十職において代々「土風炉師(どぶろし)」の家系を受け継いできた永樂家の十一代当主です。当初は伝統的な土風炉の製作に尽力していましたが、茶碗も手掛けるようになりました。また技術の高さから紀州徳川家より「河濱支流(かひんしりゅう)」の金印、「永樂」の銀印を拝領しました。
仁清写しとは、京焼を大成した名工 野々村仁清の意匠や作風を写し描いた作品を指します。仁清は色絵を用いた華やかな表現と余白を活かした洗練された構図によって京焼の名を広く知らしめた人物として名高く、日本的な美意識を優美に表現した作品を数多く残しました。
蓬莱絵とは、中国の神仙思想において東の海上にある仙人が住む不老不死の理想郷の蓬莱山を描いた作品を意味します。
今回のお品物は蓬莱を象徴する動物である鶴と亀が金彩を交えながら描かれており幻想的かつ吉祥を祝うに相応しい印象を与えます。陶印には河濱支流の金印が使用されており、この印は優れた作品にのみ使用される特別な物となります。箱には表千家十二代家元である惺斎が晩年頃に使用されたとされる「自動車判」の花押が記されております。
本品は大変状態が良く付属品も揃っていたため、こちらの評価となりました。