野沢 薫

野沢薫(のざわ かおる)は、日本の創作こけし作家・木彫作家であり、伝統的なこけしの技法を基礎としながらも、現代的で詩情豊かな表現を追求した人物です。

とりわけ「人の内面」や「静かな感情」を感じさせる造形に定評があり、単なる土産物的なこけしとは一線を画しています。人物の佇まいや表情には、人間の感情の機微が込められており、伏し目がちで物思いに沈むような顔立ち、無表情に近いながらもどこか温もりを宿す造形が大きな特徴です。

そのため、鑑賞者によって「静けさ」「郷愁」「祈り」「孤独」など、受け取る印象が変化する点も高く評価されています。

また、伝統こけしの基本構造である頭部と胴体の構成を踏襲しながらも、デフォルメされた人体表現や彫刻的フォルム、現代美術的な空気感を巧みに取り入れており、「創作こけし」の中でも芸術性の高い作家の一人と位置付けられています。

深草 浄春(長澤 浄春)

深草浄春(長澤浄春)は、人間国宝の長澤氏春を父に持つ能面師として知られています。

生没年や生涯に関する公的な記録は少なく、17歳頃(1943年)から能面制作を始めたとされています。
はじめは「深草 浄春」として活動していましたが、後に「長澤 浄春」に改名しました。
また、浄春の弟である長澤宗春長澤草春も能面師として活動しました。
浄春の死後は、長男の重春が三代目を継承しています。

浄春の作品は、繊細な彫りと表情の豊かさが特徴で、能楽の舞台でも数多く使用されました。
その高い技術や希少性などから、今でも愛好家だけでなく市場でも高く評価される傾向にあります。

長納 魚竹

長納魚竹は、日本の木彫作家として知られ、主に動物をモチーフとした作品を数多く手がけています。木の持つ質感を巧みに生かしながら、生き物のやさしい表情や、今にも動き出しそうな自然な佇まいを表現する作風が特徴です。その写実性と温かみのある表現は高く評価されています。

犬や猫、鳥など身近な動物を題材とした作品が多く、いずれも細部まで丁寧に彫り込まれており、見る人の心を和ませる魅力があります。高い技術力と独自の感性を併せ持つ作家として、木彫の分野において確かな評価を得ています。

現在でもコレクターの間で人気があり、作品の保存状態や題材によっては高い評価で取引されることもございます。長納魚竹の木彫作品は、日本の伝統的な手仕事の美しさと、動物への深い愛情が感じられる心あたたまる作品です。

小堤 良一

小堤良一は、ブロンズを用いた彫刻作品で知られる彫刻家です。
東京都港区の赤坂DSビルに設置された「梟」をはじめとする作品が、公共施設などに多数設置されています。

1953年に東京都で生まれた小堤は、肉体を使って創造する「彫刻」に魅力を感じ、彫刻家を志しました。大学入学後、エミリオ・グレコジャコモ・マンズーなどの躍動感のある表現に刺激を受け、イタリア彫刻風の作品制作を始めます。その後、新たな表現を求め、舟越保武のもとで学びました。

小堤は特定のモデルを使わず、制作の過程で生まれるアイデアを活かすというスタイルが特徴です。近年はブロンズだけでなくテラコッタを用いた作品にも取り組み、自由な造形表現を追求しています。また、依頼制作を契機に動物モチーフを取り入れたことで表現の幅が広がったそうで、その後も新しいモチーフに積極的に挑戦しながら「見る人が豊かな心持ちになれるような作品」を目指して制作を続けています。

北岡 秀雄

北岡秀雄(きたおか ひでお)は、伝統工芸と現代造形を融合させた陶人形作家です

博多人形の流れを汲みながらも、より美術的・彫刻的な表現を追求し、

温かみと品格を併せ持つ作品世界を築き上げました。

その作品は、実用性よりも「造形美・精神性」を重視しており、特に「伝之雛」シリーズは、陶芸的雛人形の中でも代表的存在として知られています。

彼の作品は、日展や日本現代工芸展への出品歴があり、評価も高いです。市場でも一定の取引があり、愛好者にとって価値のある物とされています。

長澤 草春

能面師・長澤 草春は、1944年に京都で生まれました。
日本で唯一、能面師として「人間国宝」に認定された長澤 氏春を父に持ち、幼い頃から面作りを見て育ちます。
18歳で能面師を志して父に師事し、さらに父兄の指導を受けながら腕を磨きました。
独立後は個展の開催など精力的に活動し、1977年からは「草春能面研究会」を立ち上げ、後進の作家たちのための指導研究に尽力しています。

草春は、長澤家の伝統を受け継ぎながらも、その技術を工芸品や装身具などに応用することで伝統工芸の新たな可能性を切り開きました。能面制作技術の保存・発展に寄与し、現在でもその功績は高く評価されています。

沖 泰宣

沖泰宣(おき やすのぶ)は現代の創作こけし界を代表する作家の一人です。 1955年に福岡県で生まれ、総計美術学校造形科で学んだ後、1982年に「現代の名工」として知られる義父の関口三作氏に師事し、創作こけしの制作の道に歩 …

茂木 多喜治

茂木 多喜治は、北海道八雲を代表する木彫り熊作家です。 精緻な毛彫りと温かみのある作風が特徴で、八雲の木彫文化を語るうえで欠かすことのできない存在です。 日本で初めて木彫り熊が作られたのは100年ほど前で、北海道南部に位 …

樋渡 陶六

樋渡 陶六は、繊細な彫刻を施した作品で知られる陶芸作家です。 樋渡は、1913年に愛媛県伊予郡砥部町で生まれました。 砥部工業学校を卒業後、地元の窯元を経て柿右衛門窯に入ります。そこで約20年にわたり彫刻の腕を磨き、のち …

海野 美盛

海野 美盛は、1864年生まれの彫金家・日本画家です。 水戸派の金工家・初代 海野美盛の弟子である海野盛寿の子として、江戸下谷に生まれました。 一塊の材料から像全体を立体的に彫り出す「丸彫」の人物や動物を得意とし、緻密な …

おかや木芸

おかや木芸は、島根県で1952年に創業された木芸品の工房です。 「日常生活で使うもの」をテーマに、伝統技術を用いながらも現代的なデザインをしているのが特徴です。 主に希少銘木の「黒柿」を用いた作品を手掛けており、原木の仕 …

浜田 知明

浜田知明は、日本の版画家・彫刻家です。1917年に熊本県で生まれ、2018年に100歳でこの世を去るまで、多くの作品を残しました。若い頃、戦争の影響を大きく受け、20代の大半を軍隊で過ごした経験から、戦争の悲惨さや残酷さ …

河野 道一

河野道一(こうの みちひと)は、山梨県甲府市を拠点とする現代の名工であり、甲州水晶貴石細工の第一人者として知られています。 1939年生まれ。昭和33年(1958年)から家業である河野水晶美術に従事し、昭和44年には職業 …

エドガー・ドガ

エドガー・ドガは、印象派の代表的な画家として知られています。 一般的には印象派の一員とされていますが、戸外制作を好まず古典的な技法を重んじるなど、他の画家とは一線を画す存在でした。 1834年、ドガはフランスで銀行員の家 …

岡崎雪声

岡崎雪声は、京都府伏見区で釜師・岡崎貞甫の子として生まれました。本名は庄次郎です。大阪で釜師の修業を積んだ後、21歳で上京し、鋳金家の鈴木政吉に師事しました。 明治22年(1889年)には、その年のパリ万国博覧会に出品し …

引間 二郎

引間二郎は北海道八雲町出身で、元々は農家として従事していましたが、不慮の交通事故により熊彫師に転向します。 「八雲」とは、熊彫発祥の地とも言われている八雲町からきています。1931年頃から品評会で評価の高かった木彫りの熊 …

大木 平蔵

大木平蔵(おおき へいぞう)は、京都・丸平大木人形店の伝統的な当主が襲名する名跡であり、明和年間から続く老舗京人形司における最高峰の人形作家です。 明和年間(約250年前)に創業され、現在も七代目まで続く伝統の技術と美意 …

藤崎 秀胤

藤崎 秀胤(フジサキ シュウイン)は、富山県の南砺市出身の彫刻家です。 1959年に彫刻家である父 秀一のもとに生まれ、父親から直々に彫刻を学びます。20歳頃から仏像の制作を行い、30歳を過ぎた頃には寺院に木彫り仏像の納 …

木内 克

木 内克は、茨城県水戸市出身の彫刻家です。 1892年の6月、代々医者の家系に生まれますが、彼は医師への道ではなく絵の道へと歩みを進めることとなります。 幼い頃から絵が好きだったこともあり、20歳の時に大学を中退して上京 …

愛知 文明

愛知文明(あいち ふみあき)は、1922年に岐阜県で生まれ、75歳の1997年に縄文文化を再現することをテーマとした『形象埴(けいしょうはに)』の制作により、岐阜県瑞浪市から無形文化財に認定された物故作家です。 愛知文明 …

吉田 多加志

吉田多加志は、群馬県桐生市出身の創作こけし作家です。   群馬県立桐生工業高校でデザインや色彩を学び、卒業後は会社勤めを経て、30歳の時に小林伊之介氏に師事し、創作こけしの制作を始めました。 全日本こけしコンク …

杉浦 康益

杉浦康益は1949年、東京都に生まれました。 東京芸術大学大学院を卒業後、1979年に初の個展を開催、「やきものは石である」という恩師の言葉にインスピレーションを受けて制作した『陶による石の群』を発表し、注目を集めました …

飛騨一位一刀彫

飛騨には今回ご紹介する「一位一刀彫」のほかに「春慶塗」などの木工文化がありますが、その始まりは飛騨工と呼ばれる社寺建設の技術者たちです。 飛騨の国には、租・庸・調の税の代わりに里ごとに技術者10人、飛騨国全体で年間100 …