鯉江 良二

鯉江良二は愛知県常滑市の陶芸作家です。アルバイト中の事故で、右手の指を2本失うというハンデを抱えながらも、精力的に制作に取り組み続け、その独創的な発想で、従来の焼き物の枠組みを超えた自由な作風が特徴となっています。

青年時代の鯉江は、県立常滑高校窯業科を卒業し、タイル工場で勤務していました。しかし、24歳の頃工場を辞め、常滑市立陶芸研究所へ入ります。ここで5年間本格的に陶芸について学び、退所後独立して陶芸家としての道を歩み始めました。伝統に捉われず、ときには前衛的でもある鯉江の評価は高まっていき、1970年の大阪万博では大型陶製ベンチの企画・制作を行っています。その作品は海外でも評価され、1972年の第3回バロリス国際陶芸ビエンナーレ展では国際名誉大賞を受賞したほか、国外での展覧会・講演なども行っています。2008年には日本陶磁協会賞金賞を受賞しました。

制作スタイルはまさに自由奔放で、日常使いの型の決まった陶器をあえて崩してみたり、代表作『土に還る』では自身の顔を石膏型でとり、シェルベン(衛生陶器のリサイクル用粉末)で焼き固めるなど、従来の陶芸にこだわらない独自の作品を生み出しています。

代表作としては他に『マスク』『チェルノブイリシリーズ』などがあります。