平川敏夫 『青峰愑雲』

今回ご紹介するお品物は平川敏夫『 青峰愑雲』です。

平川敏夫（ひらかわ としお）は愛知県出身の日本画家で戦後の日本画壇活躍しました。初期は新制作協会展で注目され、やがて「樹木」を中心とした幻想的な連作を展開します。樹を生命の象徴として捉え、白抜きや墨の濃淡を駆使した独自の技法で神秘的な世界を描きました。

本作も彼が得意とした山岳と雲海を題材にした代表的な作品の一つです。切り立つ峰々が連なり、その間をたゆたう雲が幻想的な空気を生み出しています。

墨の濃淡と柔らかなぼかしを駆使して、山の力強さと霧のはかなさを巧みに対比させています。

肉筆作品であることや状態を考慮して上記評価とさせていただきました。