中尾 淳 『舞妓』

本作は、徳島出身の画家・中尾 淳が手掛けた日本画です。

中尾は美人画を得意とし、「舞妓」を題材とした作品を多く手掛けています。
構図には様々なバリエーションがありますが、二人の舞妓を描いたものは特に人気があります。

本作では、重厚な黒と淡い水色の着物に身を包む二人の舞妓が対照的に描かれています。
背景の屏風には、桜や紅葉、鮮やかな緑の山などが描かれており、春と秋という対照的な装いの舞妓を通して、四季の移ろいを表現しているように感じます。

左側の舞妓は大ぶりの髪飾りを付け、若い舞妓ならではの華やかさを漂わせています。対して右側の舞妓は、落ち着いた色調から、知的な年上の女性を思わせます。
この二人の舞妓は、別々の人物としても、一人の舞妓の成長過程としても捉えられるように感じました。

対比の構成が生み出す美しさと、細部にまで及ぶ緻密な表現には思わず目を奪われます。また、随所に施された金彩・銀彩が作品全体に華やかさを添え、どの角度から見ても美しい仕上がりとなっています。

本作は、共シール付きで状態も良く、人気の構図であることなどを考慮して、上記の査定結果となっています。