今回ご紹介するお品物は、加藤卓男作『正倉院復元 三彩花貼文鳳首瓶』でございます。
加藤卓男は、失われた古代の技法である三彩やラスター彩を現代によみがえらせた、日本を代表する陶芸家です。その卓越した技術と功績が高く評価され、1995年には国指定重要無形文化財「三彩」保持者、いわゆる人間国宝に認定されました。国内の美術品オークション市場においても高い人気を誇り、その格調高い作品は常に多くのコレクターや愛好家の注目を集めています。
本作『正倉院復元 三彩花貼文鳳首瓶』は、加藤卓男が生涯をかけて取り組んだ正倉院宝物の復元研究の成果が凝縮された逸品です。ペルシャ文化の影響を色濃く伝える鳳凰の頭部を模した造形はひときわ印象的で、鋭く伸びるくちばしの美しいラインからは、異国情緒あふれる優雅さと力強さが感じられます。また、首元から胴部へと流れるようにつながる取っ手の曲線は、作品全体に気品と躍動感を与えています。
胴部には精緻な花貼文が施されており、一つひとつ丁寧に作り込まれた文様の立体感や繊細な表現からは、加藤卓男ならではの卓越した技術力をうかがうことができます。さらに、緑・褐・白の鮮やかな三彩釉が織りなす豊かな色彩が花貼文をより一層引き立て、正倉院の気品と古代ロマンを現代に鮮やかによみがえらせています。
また、本作品には作家本人による共箱が付属しており、保存状態も良好で、ヒビや欠けなどの目立った損傷は見受けられませんでした。こうした点を総合的に評価し、こちらの査定評価とさせていただきました。