佐藤勝彦は1940年満州大連出身の書画家です。
画家としての活動は中川一政の展覧会に影響を受けたことで始まりました。創作活動を続ける中で有名になるきっかけが1975年に起こります。それは、季刊『銀花』第24号に掲載された「佐藤勝彦現代仏道人生」特集号のために85,000枚の肉筆画を手がけ話題になりました。含めて、全国で個展をひらくことで知名度を上げていきました。2003年に箱根駅伝のポスターも製作しています。本職は教師で帝塚山学園小学部に勤務していたり、陶磁器などの骨董コレクターとしても知られています。また、陶芸家の辻村史朗に刺激を受け、作陶も手掛けています。
作風は仏教観に根差した豪快な書画が魅力的です。朱色を多用し、余白を残さない画風は画壇に属さないことによる自由さとも取れます。モデルには富士山や仏像を好んで描いており、他にも花や魚の作品があります。人気の作品は、富士山と不動明王で、どちらかがモデルだと高く評価される傾向にあります。
加倉井和夫は1919年神奈川県横浜市出身の日本画家です。
東京芸術大学日本画科卒業後、山口蓬春に師事しました。本格的な作品発表は戦後からで日展には第8回から第13回まで入選しています。1958年から第1回新日展に出品し、特選白寿賞を受けました。以降は、無監査、嘱託出品を重ねて、1967年に日展会員となりました。その後も順調に作品を発表しており、1974年に日展で内閣総理大臣賞を受賞し、日本芸術院会員になっています。翌年には日展の常任理事に就任しています。
作風は、自然的な清澄な色調と詩的な心象表現で描き出す花鳥風月が特徴です。また、日本画的な色彩やモチーフですが、構図は洋画的なものが多い特徴もあります。人気のモチーフは鳥と花をイラストの様に描いたもので淡い色彩の中に浮かび上がるものです。枝にとまる小鳥と枝花を切り取ったかのような印象を受ける作品が多いです。
木島櫻谷は、1877年生まれの四条派の日本画家です。
京都に生まれ京都で育ち、幼少より周囲の影響で日本画をはじめとした文化の造詣を深めました。青年になると京都画壇を代表する作家・今尾景年に師事し、以降四条派の伝統を汲んだ作風が確立していきました。
櫻谷は初期から動物画を多く描きました。1899年に全国絵画共進会に『瓜生兄弟』を出品し、こちらが宮内省買い上げとなり、人気を確立することとなります。その後は山水や花鳥、人物なども描くようになり、文展を中心に活躍しました。
京都画壇では竹内栖鳳と人気を二分するほどに注目されますが、やがて画壇と反りが合わなくなり、筆致に対して評価は落ち着いていきました。
晩年は衣笠に隠棲し、街に下りず晴耕雨読の日々を送ったといいます。
四条派を正統に継承しながら、モチーフのくまない観察と自身のイメージの投影によって明瞭かつ精緻な画風をとるのが櫻谷の特徴です。究めた写生能力は動物、自然、人物等ジャンルを問わず発揮され、現在も多くの日本画ファンを魅了しております。
三尾呉石は、明治期から昭和期にかけて活躍した日本画家です。
1885年の東京・日本橋に生まれ、幼少の頃から熱心に絵を描いていたといいます。
15歳の時に日本美術協会に出品した作品が認められ、その縁から動物画の巨匠・大橋翠石に師事することとなります。翠石のもとで四条派を基礎から学び、大胆な描画力を身に着けていきました。師を翠石としたこともあり、特に虎画において一線を画す描画をみせ、「虎の呉石」と称されるようになりました。
インド、アラビア地方の虎を訪ねて写生旅行を行うなど、呉石の虎に対するこだわりは翠石にも引けを取らないものでした。写実性を何より重視し、細部まで綿密に描写された虎の姿は実体を持つかのような迫力と気高さを感じさせます。
呉石は優れた虎画で院展や文展などにおいて多く入選を重ねました。現在においても独自性の強い呉石の作品は視線を集め、多くの日本画ファンの間で愛されております。
中原 脩は日本の画家・イラストレーターで、主に女性をモチーフとした油彩を制作していますが「中川 脩」の名前で日本画も発表している人物でもあります。
1946年に神奈川県に生まれ、東京藝術大学日本画科を卒業し、東京藝術大学大学院美術研究科修了したのち画家として制作活動に励みます。油彩では女性を主に描き、裸婦展に入選したりその他の絵画展でも精力的に活動しました。日本画家としては伝統的な日本画を精力的に描き、同一人物と思えないほど作風が変わります。また、イラストレーターとして本の装画の制作なども行い、活動の幅を広げています。
中原が多く描いた優しく繊細なタッチの少しうつむき加減な女性は気品に満ちた雰囲気があり人気が高いです。また大きな帽子をかぶったモチーフの事が多いことも特徴の一つです。
洋画と日本画では少し洋画の方が人気が高いように感じますが、画家として名前も変えて二足の草鞋を履く独自のスタイルを築いています。
岡崎忠雄は、京都府出身の日本画家です。
1943年に生まれ、昭和後期から平成の初期にかけて活躍されました。
牡丹をはじめ、花をモチーフとした日本画で主に評価を得ており、現在も根強いファンのいる作家さんです。
1968年に京都市立美術大学を修了し、その後はヨーロッパへの旅行などで自身の感性を磨きました。ヨーロッパの旅を契機として、イタリア風景の描画など西洋絵画に取り組むようになります。やがて自身の花鳥の表現に西洋画の遠近感を取り入れ、新しい日本画を追求していきました。
1984年に院展に初入選し、以降も複数回入選するなど、多く受賞歴を持つ方でもあります。もっとも多く見かけるのはやはり花の作品ですが、イタリアの風景画やキリスト絵画の模写でも高い評価を受けているため、まさに二面的な人気を持つ作家さんです。優美で繊細な花と荘厳な美しさの風景は対比的でありながら、なおかつ包括するような作家性が感じられます。