金子一馬は、ゲーム業界で特に有名なイラストレーター・キャラクターデザイナーです。
東京都の下町出身で、長年アトラスに在籍し、「真・女神転生」シリーズや「ペルソナ」シリーズのキャラクターや悪魔デザインを手掛けてきました。その独特なアートスタイルや世界観から、ファンの間では「悪魔絵師」として親しまれています。
金子のデザインは、神話や宗教、伝統的なアートのモチーフを独自の視点でアレンジしたものが特徴です。彼の描くキャラクターや悪魔は、緻密で幻想的なビジュアルを持ち、ゲームの世界観に深みを与えています。シンプルな線画と緻密なディテールを融合させたアートスタイルは、国内外のゲームファンやアート愛好家から高い評価を受けています。
1990年代からアトラスで活躍し、多くの名作タイトルに携わりました。その後、2023年にはスマホゲーム大手のコロプラに入社し、新しい開発に挑戦しております。
彼のデザインはゲームにとどまらず、ファッションやポップカルチャーにも影響を与えるなど、多方面で注目されています。
金子一馬の版画作品やゲームポスターはコレクションとして特に高い人気を持ち、モチーフによって数万円~10万円ほどの評価が期待できます。
mocha(モカ)は現在、高い人気を持つ背景イラストレーターです。
『錆喰いビスコ』『Re:LieF~親愛なるあなたへ~』などをはじめ、多くのアニメ背景やゲーム背景の作画を担当し、卓越した描画力から生み出されるノスタルジックな世界観が幅広いファン層に支持されております。
2019年にイラスト集『BACKGROUND ARTWORKS』を、2021年には二冊目となる『Empathy』を出版します。
2022年からは自身初の全国展「mocha展 星しるべ」を開催するなど、更に視線を集めています。
背景作家であるmochaの作品には、星空や青空を映したものが多くございます。
原体験として、専門学生時代に新海誠の映画『秒速5センチメートル』を観賞し、その表現力に影響を受けたと言います。
開放的な画角と美しい色彩表現は、見る者に涼感のある心地よさを与えます。映る人物の心象を情景が表しているようで、作品によって異なる情感があります。
展示会ではmochaの版画作品が展示販売され、高い人気を持っております。
mochaの版画作品は全般的に高い評価が期待できます。
柄澤齊は、1950年栃木県日光市生まれの版画家です。
木口木版画の第一人者であり、現在は版画のほか絵画・オリジナルコラージュ・エッセイ・ミステリーなど様々な芸術や文学作品に携わっているマルチな作家さんです。
1971年に創形美術学校版画科に入学し、版画家・日和崎尊夫に通常よりも厚い版木を使う「木口木版」を学びました。
1973年の『盲天使の鏡』での日本版画協会新人賞を受賞をはじめ、その後さまざまなシリーズでの木版画を制作しています。作風は緻密な絵柄で、哲学的な鑑賞者に評価を委ねる物になっています。宇宙のような背景に抽象的なオブジェや人、動物をポツンと置いた作品や、オブジェに植物の根のような有機的な管をまとわりつかせた作品などダークな雰囲気を強く感じさせる作品が特徴的です。
文学に強い思い入れがあり、自ら出版工房・梓丁室を主宰したりミステリー小説で下野文学大賞を受賞するほか、挿絵本や版画集も積極的に刊行しており、幅の広い活動から大きく人気を集めている作家さんです。
清原啓子は、東京都八王子市出身の銅版画家です。
1987年、心不全により31歳という若さで夭折されており、画家として活動した期間は10年ほどになります。
1980年頃より画家としての活動をはじめ、その圧倒的な才覚はすぐに称賛を浴びることとなりました。82年には日本版画協会の日本版画協会賞を受賞し、翌年には初の個展を開催しました。急逝されたのは、87年の個展のすぐ後のことでした。
日本版画会に彗星の如く現れ、そして去っていった夭折の天才。その短い生涯に残した作品はわずか30点でした。
清原啓子は神秘的な文学や思想を好み、卓越した技術力をもってその世界観を表現します。完成された作品はあまりに緻密で、耽美的で、観るものを幻想世界へ取り込むような蠱惑性を内包しています。
没後すでに40年が経とうとしていますが、清原啓子の表現した世界観は風化することなく、現在でも多くの人々を魅了しております。
星襄一は1913年、新潟県に生まれました。
台湾総督府台南師範学校(現・国立台南大学)を1932年に卒業後、13年間初等教員として勤めたのち、終戦後は新潟県小出町にて謄写版(ガリ版とも)印刷業を営みながら孔版画の学習を始めました。独学ながら1949年には日本版画協会展にて根市賞を受賞しています。
1956年、42歳にして武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)西洋画科を卒業しますが、卒業以降は再び版画の制作に取り組み、主に木版画の作品を制作します。
日本版画協会展や国画会を始めとした国内の展覧会以外に、サンパウロ国際版画ビエンナーレ、イタリー・カルピ国際木版画トリエンナーレなど国外の展覧会にも作品を出品しており、木版画作家として今なお高い人気を誇る作家となっています。
1969年にはニューヨークで、1971年にはベルギーで現代日本版画巡回展を開催しています。
作品の主なモチーフは樹木で、地平線と横方向に力強く広がるシルエットが特徴的です。夕暮れや青い夜など、美しい空にそびえ立つ樹木は神秘性を感じさせます。
渡辺禎雄は聖書の物語を題材とすることで有名な版画家です。
1913年の東京に生まれ、敬虔なクリスチャン(プロテスタント)としてその生を全うしました。
1941年に型染工芸家・芹沢銈介に師事し、型染の技法を習得します。そして1947年、型染技法の初めての版画作品『ルツ物語』が日本民芸館賞を、更には国画賞を受賞しました。以降、型染版画の第一人者として知られるようになりました。
渡辺の特徴は、やはりその世界観でしょう。
師・芹沢銈介は民藝運動に参加していました。その思想は、使い手の必要に寄り添った素朴な造形美「用の美」を追求するというものであり、渡辺は芹沢から学んだ素朴な美を自身の作品に重ねました。
そしてクリスチャンである渡辺は、自身の信仰をその作品に体現します。聖書を題材に、決して西洋的ではなく、型染というむしろ日本の伝統的な技法を用いて表現される作品には、渡辺にしかない独特の世界観を感じ取ることが出来ます。