バードウォッチャーが見る日本美術其ノ三

皆様こんにちは、京都本店の秦(はだ)です。

以前、野鳥観察家の私が日本美術に描かれる野鳥について2回ほど記事を書かせていただきました。

今回は其ノ三ということで、新たに作品とそこから読み取れる作家の意図についてお話させていただきます。

今回の作品は時期が外れではありますが、上村淳之 作 『爽秋』(版画)を見ていきたいと思います。

  

上村淳之(うえむら あつし)は、祖母は日本三大女流作家として知られる巨匠上村松園で、父もまた日本画家として有名な上村松篁のもとに生まれ、自身も日本画家として野鳥を描き続け、鳥博士と呼ばれるほど野鳥を愛してやまない人物です。

今回の「爽秋」では、ススキにとまろうとしているジョウビタキが描かれています。

 

ジョウビタキは日本では秋から冬にかけて見られる冬鳥で、森林や河川敷、また住宅街などにも見られ、人の近い所でも生活している鳥です。

 

この作品のは時期で言うと10月中旬頃でしょうか、この頃の鳥たちは秋の渡りのピークを迎えようとしていますが、まだ夏鳥が多く残っている時期でもあります。

そんな中、ジョウビタキやルリビタキ、ツグミなどの冬鳥の定番とも言える鳥たちもチラホラと見え始め、「もうそんな季節か」とも思わせてくれます。

 

しばらく会えなくなる夏鳥を追いかけつつ、林の近くのススキ原にとまろうとするジョウビタキを見た瞬間、野鳥ファンなら誰しもが新たな季節の訪れに胸を躍らせるものです。

そういった季節の移ろいの中で初めて見つけた喜びが秋の爽やかさの正体だったのかもしれません。