山下清 『長岡の花火』

山下清（やました きよし）は、独特の貼り絵技法と素朴な風景画で知られ「裸の大将」として親しまれた放浪の天才画家です。

『長岡の花火』は、長岡市で行われる花火大会を題材にした代表作の一つです。細かくちぎった色紙を貼り合わせて立体的に仕上げる独特の技法で、夜空に大輪の花火が輝く様子を描いています。

色紙を細かくちぎって貼り重ねる「ちぎり絵」で表現し、花火の煌めきや川面に映る光、見物客の姿まで丁寧に再現しています。

長岡は1945年の大空襲で大きな被害を受けた街。毎年の花火大会は慰霊と復興の象徴です。彼はこの花火に「悲しみを忘れず、平和を願う」思いを込めています。

ただ華やかなだけでなく、戦後の静かな祈りや命の尊さを感じさせる作品として評価されています。

今回は版画作品となり、本人サインが有ること、状態の良さを考慮してこちらの評価額となりました。