中島 千波『樹霊淡墨桜』

本作は、中島千波が手掛けた版画作品となります。
モチーフとなっているのは、日本三大桜の一つとして知られる、岐阜県にある樹齢1500年以上の「淡墨桜」です。

太い幹から複雑に枝を伸ばす桜は、圧倒的な生命力ですべてを包み込むかのようです。淡いピンクの蕾が満開時には白く染まり、散り際には淡い墨色へと変化するという、淡墨桜の神秘的な美しさを見事に表現しています。
風に舞う花びらの儚さと、千年以上の時を刻む力強い幹との対比が印象的で、桜が纏う光は、長く人々の営みに寄り添ってきた木だけが放つ特別な輝きなのかもしれません。

本作は、直筆サイン入りで状態も良好だったことなどから、上記の査定結果となっています。