川島睦郎 『椿』

川島睦郎（かわしま むつお）は、戦後日本画壇を代表する日本画家のひとりです。京都を拠点に、自然や花鳥を中心とした優美で静謐な作品を多く手がけています。

「椿」は、花鳥画の中でも伝統的・象徴的なモチーフであり、日本画の世界では季節感や気品を表すものとして好まれます。彼の場合も、椿というモチーフを通じて自然の美や生命の姿を繊細に描こうという意図がうかがえます。

写実と装飾の均衡、花に込められた精神性、金箔や余白を活かした静謐な構図

これらが融合した、現代日本画の中でも非常に完成度の高い花鳥画です。

一見華やかでありながら、内面には静かな祈りや季節の移ろいを感じさせる。まさに「京都画壇の品格と抒情」を体現した作品として評価される点と状態の良さも考慮してこちらの評価となりました。