★立石春美 作『大文字』

　皆様こんにちは。緑和堂京都本店です。今回ご紹介させていただきますお品物は、立石春美 作『大文字』です。まず初めに作家の立石春美についてご紹介させていただきます。

　立石春美は、1908年に佐賀県生まれの画家です。1927年に上京し洋画家の梶原貫五の紹介により鏑木清方に入門を願うがかなわず、1928年に深水画塾に入り、伊東深水に師事、洋画から路線を変更して日本画を学びます。そして作品としては美人画が高い評価を得ています。1931年の『淑女』での帝展入選し以後帝展、新文展に出品し、戦後は日展を中心に制作発表を行い、同21年の第1回日展に『年寄』で特選を受け、同26年の第7回日展では『山荘の朝』で特選、朝倉賞を受賞しました。この事から昭和から平成初期にかけて美人画を描き活躍し上品、静謐、清澄と称えられ数多くの賞を受賞しました。また故郷である佐賀や福岡の伝統文化にも深い関心を持っていたようです。地元の着物をきた美人画や陶磁器の職人を描くなど多くの作品を残しています。美人画や人物を描き続け今なお、人気の作家です。

　今回のお品物も立石春美が得意とする、どこか儚げながらもしっかりと芯の通った美しく強い女性が描かれています。また作品名は大文字ですが、大文字は舞妓の後ろに僅かに見えるばかりで作品の主役は大文字と共に描かれた舞妓であり、得意な美人画に対する強い思い入れを感じます。