皆さんこんにちは、緑和堂です。
今回ご紹介するのは上村松篁 作 『花野』です。
上村松篁は三大女流作家とも評価される美人画の巨匠、上村松園の長男として生まれました。
母の松園の影響もあり自然と画家を志すようになっていた松篁ですが、6歳のころに鳥かごから鳥が一斉に飛び出す様に美しさを覚え、鳥の魅力に惹かれたことが花鳥画のルーツとなっています。
松園の格調高い女性像を一筋で追い求めたためか松篁もまた格調高い鳥の絵を追い求めるようになりました。
また花鳥画の最高峰と言われるまでになった松篁を追いかけるように、息子の上村淳之も野鳥を描く日本画家として活躍しています。
今回の「花野」ですが、ナデシコの花の咲く草地に訪れたカワラヒワという鳥が描かれています。
カワラヒワは住宅街や近所の公園などでも観察することもできる、日本ではとても身近な鳥です。
公園の花の咲いた草地などでカワラヒワが種子を啄む”当たり前の光景”も、鳥の魅力に惹きこまれた松篁にとってはとても美しく映ったことでしょう。
こちらのお品物は箱も揃っており額の状態も良かったのですが、絵の隅に焼けシミが見られ、画面も湿気によるうねりが見られること、版画による複製であることも含めての評価となっております。