皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます。
今回お譲りいただきましたお品物はこちら、『冠』でございます。
一言に「冠」といっても、おそらく多くの方が想像されるような、王様が身に着ける宝飾に彩られた王冠ではございません。
こちらは、白鳳時代の朝廷官人から使用されてきた日本古来の装飾具としての「冠」となります。
聖徳太子が冠位十二階を制定してから使用され始めたと考えられており、やがて冠に限らず、被り物という文化が庶民に至るまで浸透していった歴史があります。
冠自体も、初期は布製のもののみでしたが時代とともに漆塗の剛健なものが登場したりなど、変遷が見て取れます。現代の冠は、上に固めた和紙を漆塗りで仕上げた「張貫」の上にうすい絹を張ったものが一般的です。
今回のお品物は、神職に就かれていた方が実際に使用されていたものとのことでした。後ろの垂れる部分である「纓(えい)」とともに木の入れ物で保管されており、状態の劣化が比較的見られないものであったため、こちらの評価とさせていただきました。