ミッシェル・ドラクロワ　『シテ島』

ミッシェル・ドラクロワは、1933年にフランス・パリで生まれた作家で、古き良き時代のパリの風景を自然体かつ写実的に描く作風が特徴です。その作品はナイーブアート（素朴派）として高く評価され、ナイーブ美術館をはじめとする多くの美術館にて永久保存作品として収蔵されています。また、ヨーロッパにおける王室や教皇から授与される栄誉称号の最高位である「ナイト」の称号を受けた、歴史的にも重要な現代作家の一人です。

彼の作品には、19世紀前半のパリの風景を題材とし、光と影のコントラストが鮮やかに表現された夜景が多く見られます。特に、窓からこぼれる光は同系色の色彩を巧みに使い分け、柔らかい濃淡で繊細に表現されています。また、街中の人々の様子も自然体で描かれており、様々な情景が楽しめる点も大きな魅力です。

ミッシェル・ドラクロワの作品が高い評価を受ける理由の一つに、描かれている時間帯や情景の巧みな選定があります。多くの作品では、夕方から夜にかけての時間帯に雪が舞い、街灯がともる中で、人々や建物が細部にわたって丁寧に描かれています。

今回ご紹介する《シテ島》は、セーヌ川沿いに位置し、ノートルダム大聖堂をはじめとする歴史的建築が集まる観光地を題材にしています。月明かりと町の灯りが広がる幻想的な夜景が、緻密な筆致で表現されており、細部に至るまでじっくりと観察したくなる作品です。

シルクスクリーン作品であり、額の保存状態も非常に良好で、よく見られるシミなどもなく、今回の評価に至った理由の一つとなっております。