黒柿 将棋駒

今作は、黒柿を素材として製作された将棋の駒でございます。

通常、将棋の駒には柘植（ツゲ）の木が使用されることが多いですが、本作に用いられている黒柿は、柿の木の中でも1万本に1本の確率でしか得られないとされる、非常に希少な材料です。近年の研究によれば、黒柿は樹齢150年以上の老木が、カルシウム、リン、硫黄、塩素、カリウム、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウムなどを吸収することにより、偶然的に生成されるものであり、これがその希少性を高めている要因となっております。

また、柿の木は平均的に直径50cmほどで、幹がねじれて成長する性質があるため、真っ直ぐで長さのある材木として適した品質の木材を得ることが非常に困難です。これらの要因も黒柿の希少性を高めている一因です。

黒柿の中でも特に評価が高いのが、雄の孔雀の羽に似た木目模様「孔雀杢（くじゃくもく）」であり、黒柿の中でも特に美術的価値の高いものとして知られています。黒柿自体が1万本に1本の確率で発生するのに対し、孔雀杢はさらにその中の3万本に1本という確率とされており、極めて希少であることから高い評価を受けています。

本作は、孔雀杢ではなく一般的な黒柿を使用して製作されたお品物であり、特定の作家の銘は入っておりません。しかしながら、非常に希少な素材が用いられ、美術的かつ実用的で、保存状態も非常に良好であることから、今回の高い評価となっております。

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