北川民次『母子像』

北川民次は静岡県出身で、晩年は愛知県瀬戸市に居住していた画家です。メキシコを題材とした作品や花、母子像などが代表作として知られています。

1894年に静岡県に生まれ、早稲田大学に入学しますが、1912年頃から絵を描き始め、1914年には大学を中退してアメリカへ渡ります。アメリカでは語学を学びながら舞台背景画の制作にも携わっており、この時期に絵の構図を描く能力が培われたとされています。1923年にはメキシコに拠点を移し、メキシコ革命の意義やメキシコ人の独自性を表現する「メキシコ壁画運動」の影響を強く受けました。はっきりとした印影を特徴とする独自の作風を築いています。

本作『母子像』は、1950年代後半から1960年頃にかけて社会問題を題材にしていた時期に制作された作品で、メキシコ壁画のような力強い印影と鮮やかな配色がとても印象的な作品となっています。

また、額の状態も非常に美しく外の保管箱もきれいな状態であり、付属品の欠品などもないことから今回の査定金額となっております。