皆様こんにちは、緑和堂東京支店です。
本日ご紹介する作品は、ジャン・ジャンセン作「背を向ける女性」のリトグラフになります。
作者のジャンセンはアナトリア(現在のトルコ)にて生まれ、父はアルメニア人、母はトルコ人と当時のオスマン帝国の情勢では非常に危うい立場で暮らしていました。その後は故郷を離れ、ギリシャを経由してフランスに渡った経歴を持っています。
フランスで過ごす中でジャンセンは画家にになることを決め、パリの装飾美術学校の他、デッサン学校やアトリエで絵について学びました。
ジャンセンの作品は、自らの目で対象を見て、ありのままの姿を描いた作品で、デッサンを重視しています。線画家であったジャンセンの作品は、彼の目に映る世界をそのままに映し出しています。ジャンセンは版画作品には版画作品の見え方があり、技法によって変わる見え方のニュアンスまでにこだわり、巧みに表現しています。
今回の作品である「背を向けた女性」もそのままの姿を独自の視点で表現しており、アンニュイで陰のある雰囲気がジャンセンらしさと感じることができます。
今回の作品は残念ながら保管箱などの付属品は失われておりましたが、保管状態が良くシミや色ヤケ、額本体の傷みなどはほとんど見受けられなかったためこちらの評価とさせていただきました。