皆さまこんにちは、緑和堂京都本店です。
本日紹介するのは十三代 徳翁宗守 有隣斎 掛軸『無事』でございます。
十三代 徳翁宗守 有隣斎は武者小路千家十三世家元です。名は宗守、号は有隣斎・徳翁・宗安などで、聴松宗守に師事しています。
京都帝国大学文学部で国史学を専攻し、卒業後も大学院で日本文化史の研究に当たりました。
卒業後に武者小路千家12代聴松宗守(愈好斎)の娘千澄子と結婚、12代聴松宗守には息子がいなかった為婿養子となり、53年に13世宗守を襲名しています。
大学での経験や学力、知識を持ち、茶儀に自らの学識を活かすなど学究肌の茶匠でした。
1983年の秋に古稀を境に徳翁の号を受け、1989年76歳の時に家督を長男に譲り、自身は宗安の号を襲名し隠居。自分の意見を曲げず常に高みを目指し続け、茶道界において大変貴重な存在でありました。
今回のお品物は『無事』と書かれた掛軸です。茶席では12月や年末に無事という軸を掛けて1年を無事に過ごせた事への喜びや感謝を想うそうですが、禅語としての本来の意味はこの意味とはまた異なります。
作為ではなく、何ものにもとらわれないあるがままの状態である事。自分の外に向かい何かを求め心を乱さなくても、すでに自分の中に全て備わっているのだから、何もせずともよいという事。
年末には茶席でなくともこの軸を掛け、静かに自分と向き合う時間を取りたいと思いました。