皆様、こんにちは。緑和堂東京支店でございます。
今回ご紹介いたしますお品物は、林喜市郎 作『飛騨白川郷の合掌造り』でございます。
林 喜市郎(はやし きいちろう)は50歳を過ぎてから画家デビューという異色の経歴を持った洋画家です。
林喜市郎は1919年、千葉県野田市に生まれます。
1946年にシベリア抑留(よくりゅう)を経験し、敗戦後、日本に戻り画家を志すようになります。
幼少期に生まれ育った千葉の故郷等を主題に、様々な風景画、主に民家を描く事で知られ、全国の民家を訪ね歩く事により、日本固有の藁葺(かやぶき)文化を世界に伝え浸透させるために活動を始めました。
数ある作品の中でも、山梨県忍野村風景が大多数を占めており、優美性と写実性に富んだ独特の技法で絶大な人気を得ました。
中でも 様々な風景画、民家を描く事で知られる画商、寺西進三郎(てらにし しんざぶろう)に認められ、約30年間に及ぶ全国の藁葺民家の取材旅行からは、今となっては、ほとんど消え去りつつある日本の原風景を再発見するとともに、「失われた民家百景」シリーズとして制作するに至ります。
愚直に生涯のライフワークとして民家を描き続けたことにより、繊細で日本の風情を表現する作風が高く評価され、1970年に全国勤労者美術展都知事賞を受賞。後に一水会展に入選した後、4回に渡り入選し、併せて日伯現代美術展入選も果たします。
今回のお品物は代表的な古民家の藁葺民家をモチーフにされております。古き良き日本の風景を題材に落ち着いた雰囲気を感じられるかと思います。評価が高くなる特徴としては、古民家+富士山が描かれている作品になります。主に山梨県を主題にした作品を多く制作されていたことから古民家の背景に富士山があると評価が付きやすくなります。今回のお品物は残念ながらモチーフになる地域が違いましたが、代表的な藁葺屋根であったことから上記の評価となります。