皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます。
今回お譲りいただきましたお品物はこちら。清原啓子 作 銅版画『久生十蘭に捧ぐ』でございます。
清原啓子は、東京都八王子市出身の銅版画家です。
1987年、心不全により31歳という若さで夭折されており、画家として活動した期間は10年ほどになります。
1980年頃より画家としての活動をはじめ、82年には日本版画協会の日本版画協会賞を受賞し、翌年には初の個展を開催しました。急逝されたのは、87年の個展のすぐ後のことでした。その短い生涯に残した作品はわずか30点ほどしかありません。
清原啓子は耽美的、幻想的な文学を好み、中でも作家・久生十蘭に強い愛着を持っていました。自身の作風に大きなインスピレーションを受け、傾倒する中で本作『久生十蘭に捧ぐ』が制作されました。
手前には草木、奥には舞台とマリオネットがあり、緻密な描画の中にはいくつもの小道具が意味ありげに配置されています。耽美的な美しさに圧倒される中で、想像力が掻き立てられるような不思議な魅力が感じられる作品です。
今回は現存数の少ない有名作家の銅版画作品であったため、こちらの評価とさせていただきました。