月岡芳年『祐天上人奇譚』

今回ご紹介致しますお品物は月岡芳年『祐天上人奇譚』です。

こちらのお品物は、無惨絵で知られる月岡芳年による作品です。

本作は、後に増上寺第三十六世法主となった祐天上人を描いたものです。祐天上人は幼少の頃、経典も覚えられないほど物覚えが悪かったと伝えられています。そのため、成田山新勝寺にて知恵を授かるよう祈願したところ、不動明王が現れ、「剣を呑めば悪い血が流れ、知恵が授かる」と告げました。不動明王は長短二振りの剣を差し出し、祐天上人に選ばせます。長い剣を選んだ祐天上人が死を覚悟し、剣を呑もうとする場面が本作に描かれています。

こちらのお品物は芳年の代表作の一つに数えられる作品で人気が高いものです。三枚綴が全て揃っており状態も良好であったことによりこちらの評価となりました。