本作は、陶芸家・辻輝子の蜂模様のぐい吞みです。
辻 輝子(つじ てるこ)は東京都出身で、17歳の時に観た陶芸家・濱田庄司の展覧会を機に陶芸の美に目覚めました。
女学校卒業後、1938年より大森光彦や富本憲吉に陶芸を、浅香金四郎に日本画を学びます。
1941年には、陶芸を志した弟の辻清明と共に自宅に「辻陶器研究所」の看板を掲げ窯を築きました。
ニューヨーク万国博覧会やサンフランシスコ万国博覧会に出品したり、東京府現代工芸美術展において出品した飾筥が特賞を受賞するなど、女性陶芸家の先駆者として活躍しました。
北大路魯山人や岡本太郎、棟方志功、土門拳、川端康成など幅広い文化人との交流を通じて育まれた芸術性から作り出される作品は、草花や昆虫のモチーフを、日本画で培った描写力で、鮮やかな色絵によって表現されています。
本作は側面に蜂が描かれたぐい吞みです。
羽根や胴体の輪郭を描いた透明感ある青色と、胴中央の鮮やかな黄色が印象的な作品です。
共箱の蓋裏に記載されている「孔雀窯」は、1970年に伊東市宇佐美に築いた窯であり、開窯した日に孔雀が飛来したことから名付けられました。
本作は、保存状態が良好であることや、作者のサインが確認できることを踏まえて、こちらの評価となりました。