皆様、こんにちは。 緑和堂 大阪支店でございます。
今回ご紹介させて頂くお品物は、畦地梅太郎 作 「樹海をとぶ鳥」でございます。
畦地梅太郎は「山の版画家」として知られる木版画家です。
明治に愛媛県に生まれた梅太郎は当初は油絵画家を志しますが、上京した際に就いた内閣印刷局にて仕事の合間に鉛版画を試みたことで版画の制作を始め、1927年には日本創作版画協会第7回展に入選したことで内閣印刷局を辞し、平塚運一や恩地孝四郎を師事しながら、本格的に版画家として活動するようになります。
1937年の夏に軽井沢に出掛けた際に見た浅間山に魅せられ、「山」をテーマにした作品を制作し始めたことで「山の版画家」として知られるようになりました。
その後、代表作「山男」のシリーズを制作するなど人気も高く、没後、故郷の愛媛県宇和島市に記念館も設立されるなど、現在でも評価の高い人物です。
今回の「樹海をとぶ鳥」は「山の版画」や「山男」のシリーズとは別のものとなっておりますが、夜の樹海の上を月明りを頼りに渡っていく鳥が描かれており、梅太郎らしい極限までシンプルにデフォルメされた鳥たちが力強くもあり、また、去っていく寂しさなども感じられる作品となっております。
また、作品下部の「AP」サインは本来非売品のもので、贈答したり作家自身で保存したりするものに付けられるエディションとなり、数字の当てられたものと比べると多少価値は下がってしまいますが、作品にシミなどもなく、額も綺麗な物だったのでこのような評価になりました。
緑和堂では、絵画や美術工芸品の他にも書道具や骨董品など幅広く取り扱っております。
自身のコレクション整理やお片付けで出てきたお品物等ございましたら、是非お気軽にお問合せ下さいませ。