皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます。
今回ご紹介するお品物はこちら。吉田善彦 作『木蓮』でございます。
吉田善彦は、20世紀の代表的な日本画家です。
1912年の東京に生まれ、17歳の頃から日本画家・速水御舟に師事しました。1937年に『もくれんの花』が院展で初入選し、以降も幾度となく院展に出品、入選をしております。1940年からは法隆寺金堂壁画の模写事業に参加しており、戦後に至るまで仏画の模写作業に従事しました。
吉田善彦は御舟の数少ない弟子として語られることが多いです。もちろん、古典の重要性を説いた御舟の教えはその画風に大きな影響を及ぼしていますが、一方で金箔を利用した「吉田様式」と呼ばれる独自の画法も作り上げており、今日の評価につながっております。
本作『木蓮』では、花瓶に生けられた木蓮の花が20号に大きく描かれております。日本画において花は頻出のモチーフですが、生け花を多く扱うのは吉田善彦の特徴といえるのではないでしょうか。師・御舟の描いた木蓮も咀嚼しつつ、自身の形となる表現を追求したような気品溢れる一枚です。
本作では「吉田様式」の色合いは見られませんでしたが、共シールが付属しており、目立つ傷等も見受けられなかったためこちらの評価とさせていただきました。