皆様、こんにちは。緑和堂東京支店で御座います。
本日ご紹介させていただくお品物は、藤田喬平 作 『手吹カンナ蓋物』でございます。
藤田喬平は日本のガラス工芸の第一人者として活躍した人物になります。
1921年東京に生まれ、東京美術学校に入学、当初は彫金を学んでいましたが、ガラスの美しさに魅せられ、ガラス工芸家へと転向します。ガラス工芸の本場であるイタリアで学び、新たな技法の研究も行いました。
「飾筥」シリーズでは、色ガラスに金箔を混ぜる独自の技法を確立します。琳派の日本画の色を取り込み作られる作品は、海外でも高い評価を受けました。作品は型を使わず、手吹と呼ばれる竿で息を吹き込んで膨らませる方法で制作されています。
今回のお品物もその「手吹」によって手掛けられた作品になります。中でも上記に出た飾筥シリーズやヴェニスシリーズで作品や作者を知られている方も多いかと思いますが、実は「フジタのカンナ」と呼ばれるほど世界的に認知されている文様になります。カンナというのはヴェネツィアングラスの伝統文様もガラス文様を使った作品のことです。本場の伝統的な文様からは研究をされてきた風景が想像できると思います。
今回のお品物は共箱の保存もしっかりとされていたのですが、残念なことに蓋に破損が御座いました。今回は破損の状態を考慮して上記の評価額になりますが、破損状況や付属の有無によって相場が変わってきますのでご注意ください。