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「陶芸家」西岡小十（にしおかこじゅう）

生没： 1917-2006

西岡小十は「古唐津の神様」と謳われた人物です。

1917年、佐賀県に生まれ、1950年頃から約20年間にわたり唐津古窯跡の発掘に師事し、古窯跡の陶片に心奪われ、いつしか、発掘した陶片のような唐津を再現したいと思うようになります。1960年、当時、文化財調査官であった小山冨士夫との出会いをきっかけに、1969年、52歳で作陶を始めます。公募展には一切出品せず、個展のみで作品を発表し続け、古典技法である絵斑唐津（えまだらからつ）・梅華皮(かいらぎ)の復元に成功し、古唐津を現代によみがえらせた唐津焼の名手といえる陶芸家です。

小山冨士夫を「唯一の師」と仰ぎ、その進言により、晩年まで世間の名利私欲とは無縁の無冠であり続け、古唐津再興に生涯を注ぎました。

人間国宝である荒川豊藏や同じく人間国宝の藤原啓とも親交が深い事でも有名です。

西岡小十略歴

1917年	佐賀県唐津市に生まれる。
1940年	関西大学を卒業する。
1943年	大学卒業後、就職するが兵役に就き、満州にて野砲部隊に従軍する。
1945年	終戦を迎え、帰国後、生命保険会社に就職する。
1950年	地元の唐津市に帰郷し、古窯址を巡るようになる。
1953年	古唐津再現のため、古窯跡の発掘に携わる。
1960年	文化財調査官であった小山冨士夫と出会う。
1966年	自宅兼作業場にて本格的に陶芸家の道を歩みだし、美濃、備前、信楽、萩など全国の陶芸家と交流をもつようになる。
1971年	小山冨士夫の指導により割竹式登窯「小次郎窯」を唐津衣干山の頂に築窯し独立する。
1973年	小山冨士夫が「小次郎窯」を来窯する。
1976年	荒川豊蔵が「小次郎窯」を来窯する。
1980年	小山冨士夫の紹介で藤原啓が「小次郎窯」を来窯する。
1981年	数十回の焼成の結果、絵斑唐津の焼成復元に成功する。小次郎窯の奥に、自らの作品専用の小さい登窯を築き、荒川豊藏が「小十窯」と名付け、開窯。
1985年	梅花皮（かいらぎ）唐津の復元に成功する。
1999年	人に勧められ石川県辰之口町に「辰之口窯」開窯。この付近の土は唐津土に似ているという事から、『加賀唐津』と名づける。
2006年	肝臓癌により死去。　享年90歳。