清水 卯一 作『青瓷貫入 茶盌』

この作品の買取価格・作家について

清水卯一は重要無形文化財「鉄釉陶器」で人間国宝に認定された陶芸家です。

京都市東山区に、京焼陶磁器卸問屋を営む清水卯之助の長男として生まれます。

11歳のときに父が病死し、商業学校へ入学しますが、作陶に興味を抱き、轆轤師宮本鉄太郎らを知ります。商業学校を2年修了とともに中退し、14歳で石黒宗麿（いしぐろむねまろ）に師事、通い弟子となります。
しかし、戦時体制の強化に伴い、数ヶ月で通い弟子を中断し、自宅に轆轤場を設けて作陶を始めます。
翌年、伏見の国立陶磁器試験場に伝習生として入所し、日根野作三らの指導を受け、1943年には京都市立工業試験場窯業部の助手となりますが、終戦後に辞職、自宅を工房にして作陶を再開し、1947年、前衛的な陶芸家集団「四耕会」の結成に参加します。
1951年には第7回となる日展に初入選し、以後、1955年の第11回展まで出品。同じく1955年、第2回日本伝統工芸展に石黒宗麿の推薦を受けて出品し、1957年には日本工芸会正会員となります。
その後も作品の出品を続け、多くの賞を受賞しました。海外においても評価は高く、1959年のブリュッセル万国博覧会でグランプリ受賞をはじめ、1962年のプラハでの国際陶芸展で金賞、1963年のワシントン国際陶磁器展で最高賞、1967年イスタンブール国際陶芸展でグランプリを受賞するなど、世界からも注目を集めます。
その後も土と釉薬の研究に情熱を捧げ、青瓷、鉄耀、蓬莱耀、蓬莱磁など、伝統的な技術と豊かな創造力による作品を次々に発表し高い評価を受けます。85年には石黒宗麿に続いて二人目となる、「鉄釉陶器」で重要無形文化財保持者に認定され人間国宝となりました。

鉄釉とは灰釉に酸化鉄を加えれば一般的な「鉄釉」となり、釉薬となるとかなりの数が存在しますが、清水卯一の鉄釉で代表的なのが天目茶碗になります。
箱書きにもあります貫入（かんにゅう）とは釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉のひび模様のことで、割れた時のひびや傷とは異なります。 
今回ご紹介するお品物は青瓷（せいじ）と呼ばれるもので天目ではありませんが、清水卯一の得意とする作品の一部で、綺麗に貫入も入っており、極限まで薄く作られた作品は清水卯一の技術力の高さを目の当たりにできるお品物となっております。保存状態も非常によく、専用の木箱もあった為、今回の評価額となりました。
お品物自体の状態によっては価格が変動致しますのでご了承下さいませ。　

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